みやま文庫について

みやま文庫について
みやま文庫のあゆみ
みやま文庫堂日録

みやま文庫について

「みやま文庫」は、ふるさとの文化向上を目的に、会員制の出版文化団体として1961(昭和36)年に発足しました。

みやま文庫の名称は、赤城、榛名、妙義の上毛三山の名にちなんでいます。

創刊に関わった人たちの胸にあったのは、出版事業が盛んではない群馬県に出版文化を根付かせ、群馬に関わる大切なものを自分たちの手で本にして後世に伝えていこうという気概でした。

取り上げるテーマは幅広く、地域の歴史・文化を軸に、自然、宗教、産業からスポーツまで、群馬のあらゆる物、出来事、いわば森羅万象を対象にしています。
60数年にわたって刊行されてきた250巻余に及ぶ図書は、この土地の人々の英知を結集した「群馬百科事典」であり、出版事業そのものが、戦後群馬の代表的な文化運動の一つと捉えられるでしょう。

しかし、近年は、会員の減少などにより、これまでのような運営が困難になり、存続の危機に直面しています。こんな状況に対し、何としても息長く事業を継続していきたいという思いで、さまざまな角度から改革に踏み出しています。

みやま文庫のあゆみ

地方文化推進の基礎として
みやま文庫は、1960(昭和35)年、篠原秀吉(上毛新聞社社長)、黒沢得男(県教育長)、吹山保忠(毎日新聞社支局長)の三氏の発意による「文化懇話会」での話し合いが契機となり、群馬県議会図書室運営委員を中心に、出版文化団体として1961(昭和36)年3月に発足しました。
地方文化推進の基礎として出版活動を行うことを目的に、会員制により幅広い郷土図書を頒布することが基本方針となりました。
前橋市労使会館で行われた発起人会・設立総会で、会長に神田坤六(群馬県知事)、副会長に篠原秀吉、黒沢得男、監事に横山多喜夫(群馬銀行頭取)、島岡利二(弁護士)、運営委員長に古屋栄吉(群馬県議会議員)、編集委員長に相葉伸(群馬大学学芸学部長)が選ばれました。
そして、この事業の発案から組織運営まで一貫して中軸となったのが、郷土史研究家で当時、群馬県議会図書室長を務めていた萩原進でした。

1992年に文部大臣表彰

初年度の1961年度には第1巻『赤城ーふるさとの山』をはじめ5巻を出版し、翌年度には4巻を出しました。以後、B6判の図書を年4巻発行することが定着しました。

出版費用の多くを会費でまかなう会員制をとったことで、商業ベースに乗りにくい出版が可能となり、貴重な郷土に関する数々の研究を世に出してきました。これにより、群馬県内の研究家の業績が活かされるとともに、研究者の発掘や育成の場として寄与してきました。
学校教育の中でも指導資料や学習書としての価値も認められ、さらに社会教育や生涯学習の材料にもなっています。
このように地域の文化振興に尽力した功績が認められ、1992(平成4)年には、文部大臣表彰を受けました。

存続の危機に対して抜本改革
会員数は、発足時の300人前後から順調に増え、1977(昭和52)年には3800人に達しました。
しかし、この年をピークに以後、会員の高齢化などにより減少が続いています。2018(平成30)年には1000人を割り、その後も毎年数十人減っています。
このため、会費収入と一般販売、群馬県の助成により支えられてきたこれまでの運営は困難と判断し、2023(令和5)年春、刊行数と会費の見直しを行いました。
具体的には、年4冊の刊行を2冊に減らし、1992(平成4)年から据え置いてきた年会費を4000円から3000円としました。
これに加え、運営面でも抜本的な改革が必要、との考えから、2024年春、新たな運営方法に切り替えました。改革の実現のためにまず、民間企業の朝日印刷工業株式会社(群馬県前橋市元総社町)が事業運営の委託を受けて業務を行う体制となりました。
印刷業務とともに、これまでもみやま文庫の絶版図書復刻、貴重な文献などを復刊する地域文化復刻などを手掛け、郷土の出版文化振興の要となってきた事業者です。
さらに、編集の経験と知識をもつ編集長兼事務局長を配置し、先覚者の精神とこれまでの編集方針を継承しながら、新しい発想による企画、編集、デザインを追求した図書を出版、文化運動としての価値や可能性を広く発信していきます。

みやま文庫堂日録


前橋文学館に「みやま文庫丸」を設けていただきました。『詩人萩原朔太郎』(第22巻、昭和41年発行)をはじめ、みやま文庫の文学に関わる図書多数をそろえました。書棚は2020年に同文学館で開いた「佐藤惣之助生誕130年展」で使われた船です。(20241101)

群馬県の地元紙、上毛新聞10月26日付 社会面で、みやま文庫の再出発を掲載していただきました。丁寧な取り上げ方に感謝します。先覚者の精神に学び、その方針を継承しつつ、より魅力的な本づくりに努めます。

チラシ裏のご入会・購入のご案内です。

 「みやま文庫堂」開設に当たって
 編集長・事務局長                藤井浩


4月1日からみやま文庫事務局が新体制になったものの、さまざまな準備作業に追われ、ご挨拶が遅れてしまいました。
今月から編集長・事務局長として本格的に活動を始めます。

着任にあたり、事務局を「みやま文庫堂」と名付けました。歴史・文化に関心を持つ多くの人々が集い、情報交換し、刺激を受け合う場にしたいという考えからです。
会員制のみやま文庫は、肝心な会員数の減少で存続が難しくなっています。この危機を脱するため、今年度から民間企業の朝日印刷工業株式会社(前橋市元総社町)が事業運営の委託を受け、改革に乗り出しました。質の高い魅力的な本づくりと情報の発信を軸に、できることから取り組んでいきます。
 その基本姿勢をお伝えするため、まず、みやま文庫の新しいイメージデザイン(チラシ、ポスター用)とロゴマークを作りました。

新みやま文庫第1弾は、『謎解き 臨江閣』(小島純一著)と『前橋の恩人 安井与左衛門』(野本文幸著)の2冊で、今年12月の刊行を予定しています。
さらに令和7年度以降は『群馬美術家列伝 上』(染谷滋著)、『前橋空襲80年』(原田恒弘編)、『ぐんま演劇史』(中村ひろみ著)、『碓氷製糸の軌跡』(土屋真志著)、『日記に見る群馬の農山村』(永島政彦著)(いずれも仮題)ほか多数を準備しています。 

このコーナーでは今後、不定期ですが、みやま文庫に関する新しい情報とともに、群馬の歴史・文化にかかわるさまざまな話題をお伝えします。(20240914)